雷のとき”車の中は安全”って本当?その理由や正しい避難方法とは

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車が走る道路と夜空に鳴り響く雷

雷の時、車の中は安全と言われますね。

それって本当でしょうか。それとも単なる迷信……?

どうして車の中は安全と言われるのか。本当に安全か―― 車と雷に関するみなさんの疑問を一挙解決します!

雷から身を守るために車でどんな行動をとったらいいかもご紹介していますので、そちらもぜひ御覧ください。

車の中にいたら安全って本当?

雷の時、車の中は安全と言われますが、「=車に雷は落ちない」というわけではありません。

車に乗っていても、地面に立っていても、雷の落ちる可能性はほとんど変わりません。

では”車の中は安全”とはどういうことでしょうか?

それは【落雷を受けても、車内の人間の安全は確保される】ということなんです。

最近は一般的に”車の中にいれば安全”と言われる

最近では「車の中は安全」という考え方が一般的。

TV番組などでも紹介されており、私たちの常識として浸透しつつありますよね。

でも、電気を通しやすい金属で覆われた車の中が安全というのはとても不思議です。

実際に起こっている車への落雷

落雷で車が損傷する被害が毎年多く発生しています。

たとえば、イギリスでは今年3月に落雷の映像がニュースになっています。

インターネットでは、このように落雷の瞬間をとらえた映像や、事故車の画像を簡単に見つけることが出来ます。すべて本当に起こった事故ならば、これらは結構な数です

※[car_struck _lightning]で検索すると、世界中の車への落雷事故の情報を見ることが出来ます。

やはり車の中の人は無事だった

いくら大丈夫と言われても、実際に被害に遭った車体の画像を見ると不安になりますよね。

しかし、これらの事故は(外見は悲惨ですが)中の人はやはり無事でした。

では、どうして車の中は安全なのでしょうか。その理由を説明します。

「車内安全説」の根拠

雷に打たれた時の車と電流

車が雷に打たれると、電流は通常、ボディの表面を伝わり→タイヤを通って→大地に逃げていきます。

この時、車内はというと「ピリッ」ともしないそうです。

実は、空気は絶縁体(電気を通さない物質)なんです。そのため、電流は空気よりも金属に流れやすく、ボディから空気を伝わって中の人間に雷の電気が及ぶ可能性はありません。

そもそも車は、落雷の被害が無いように設計されています。同じ理由で電車や飛行機なども安全です。

 

なぜタイヤはゴムなのに電気を通す?

材料のゴムは絶縁体なのに、なぜタイヤは雷の電流を地面に逃がすのでしょうか。

それは次のような理由からです。

  • タイヤは中に金属の芯などがあり、数%カーボンも混じっているので、純粋なゴムの塊のようには絶縁体として機能しない。
  • 「空気」は絶縁体。空気より物体(ゴム)の方が何倍も電流が流れやすいため、電流は車内の空気に向かずにそのままタイヤへ流れる。
  • 雷の威力は強く、ゴム程度の絶縁体では抑えられない。
    ※数億~数十億ボルトといわれる雷の威力は家電(100ボルト)と比べても歴然!

【実験】金属の枠の中にいることで、感電を回避

電気実験で有名なでんじろう先生は、災害について特集したテレビ番組の中で次のような実験をしています。

ファラデーケージ(※)を使った実験です。

おもちゃの入った金属の鳥かごと人工雷を発生させる機器

おもちゃの入った金属の鳥かごに人工の雷を落とす実験 出典:ctv.co.jp

この実験の結果、いれものに電気が直撃しても中のおもちゃは無事で、正常に動きました。

※ファラデーケージって?

『ファラデーケージ』とは、金属など電気の流れやすい材質で出来たフレームと、フレームで囲われた空間のことです。ここに電気を落とす(=落雷)と、電気はひたすらそのフレーム上を流れ、フレームで囲われた空間には全く影響しません。

ファラデーケージを使った実験はマイケル・ファラデー(1791-1867)というイギリスの化学・物理学者がはじめに行ったことでこの名が付きました。あの有名なアインシュタインも実はファラデーの大ファンで、壁に彼の肖像画を貼っていたそうです。

政府もJAFも車内の安全性を認めている

JAFは、人を乗せた車内に人工的に雷を落とす実験で安全性を証明していて、気象庁も「雷が落ちた時は安全な場所へ避難しよう」というアドバイスの中で車を例にあげています。

また、雷の落ちやすいゴルフ場では古い自動車を”雷の避難場所”として設置しているところもあるそう。

このように、車内は雷の際に安全な場所と言えます。

しかし、”100%安全”というわけではないんです!

車の中にいて安全でないのは、どのようなケースでしょうか。

雷で車が危ないパターン

落雷時、車内に危険が及ぶ可能性があるのは次のケースです。

それぞれ紹介していきます。

  1. 流電中のボディに触れてしまった場合
  2. オープンカーの場合
  3. 電気自動車の場合
  4. 窓ガラスに直撃した場合
  5. 二次的な被害

1.流電中のボディに触れてしまった場合

車への落雷時に金属のボディに触れてしまうと、そこから感電してしまいます。雷が鳴っている時は、一度運転はやめて、何かに手を触れないようにしましょう。

ボディの他に、ドアノブなどは金属製の場合があります。またガラスにも触れないようにしてください。

2.オープンカー(ルーフが金属以外)の場合

オープンカーのルーフは金属以外で出来ているものも多いですよね。雷の際に避難場所となる車ですが、オープンカーは例外。むしろ最も危険な場所のひとつになります。

雷を伴うような激しい雨天の時、オープンカーでは出かけない方がいいでしょう。出先で雷がなった場合、速やかに車から降りましょう。

お出かけ前の雷の動向は以下のサイトを参考にして下さい。1㎞範囲ごとに、1時間後までの雷の可能性を予測します。

参考サイト 気象庁による雷予測ツール『雷ナウキャスト』

カーボン車は大丈夫?

最近は金属以外の、カーボン(CFRP)で出来た車もありますね。カーボン製の釣り竿は、雷がなるとピリピリするといいます。カーボン車は大丈夫なのか、気になるところ。

しかし、カーボン車も、通常素材の車同様に地面へ電流を逃す構造は一緒。人体に影響が及ぶ可能性は低いです。物体に落雷すると、電気はそこから導電性の高い方へ高い方へと流れます。

また、導電性(電気の通しやすさ)は[金属>炭素>紙>純水>人の皮膚]の順に高いです。人の皮膚よりも炭素の方が電気を通しやすいので、カーボンのボディを伝っている時に人へ電流が向くことはありません。

3.電気自動車の場合

タイヤを伝って電気が地面に逃げていく原理は電気自動車(EV)でも同じ。人が感電する心配はありません。

日産は『リーフ』を使って電気自動車の落雷実験をし、その安全性を確かめています。

▼日産『リーフ』落雷実験

専用施設で実際に雷を落とす実験。電気で走るEVに落雷があった場合、いったいどんなことが起きるのか?ガソリン車には雷が落ちた前例があるが、EVには当然ながらないため検証した。

日産の実験結果によると、通常の車の落雷実験と同じく問題は無さそうです。

ただし電気自動車は、動力部分を含めほとんどの制御を電気エネルギーで行うので、落雷による誘導電流の影響などで機器が故障する可能性がわずかながらに考えられます。

とはいえ、当然自動車メーカーも被害が出ないよう最善の対応をしているはずですから、あまり気にする必要はないでしょう。

誘導電流とは?

コイルに磁石を近づけたり離したりすると、コイルには電流が流れます。このような、磁場の変化によって生じる電流を「誘導電流」といいます。

4.窓ガラスに直撃した場合

車に落雷した場合、通常はボディ(金属)がファラデーケージとして働き、その中を電流が流れます。

しかし、窓ガラスに直撃した場合は例外です。窓ガラスから電流が車内の金属に向かう場合もあります。フロントガラスの近く、ダッシュボードなどには金属類を置かない方がいいでしょう。

5.二次的な被害

これまで見てきたように、車に乗っている場合、人体が直接電気を受ける可能性はほとんどありません。

しかし、雷を受けた車が「炎上」したり、「タイヤがバースト(パンク)」することがあります。その際、中にいる人は安全とは言えませんね。

こうした間接的な被害の危険性もあることを、頭に入れておきましょう。

結論

「雷が落ちる確率は変わらないけれど、車内にいれば落ちた時は安全。屋外で雷の音を聞いたら、車の中に逃げ込む方が正しい。」と言えます。

その際、

  • 車の金属部分(ボディ、ドアノブ)やガラス部分には触れない。
  • 雷が起こりそうな気象の時は窓を完全に締め切り、車内に通電させない。
  • 落雷時、内部は安全でも、炎上やタイヤのバースト(パンク)の可能性はある。雷の兆候があったら車を寄せて過ぎるのを待つ。

ことが大事です。

車体を路肩に寄せるときは…

車を路肩に寄せる際は、木や高い建物の近くに寄せるのはやめましょう。近くの物体に落雷すると、フロントガラスなどを通して間接的に感電する危険性もあります。

さいごに、雷に打たれる確率は1/10,000,000と言われ、サマージャンボ宝くじに当選するよりも低いです。そこから死亡する確率はもっと低くなります。

これに対して、交通事故で命を落とす確立は1/10,000人というデータもあります。みなさん、安全に気をつけてドライブを楽しんで下さい。

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